明野には大きな観光スポットやショッピングスポットはありません。でも、“なにもない”からこそキャンプ本来の楽しさ=「自然とのふれあい」を見つけていただくことができます。そんなキャンピカ明野の魅力をおつたえするスタッフのブログです。 「森の記憶」展開催中
5/10から「森の記憶」展がスタートしました。
この展示は“アートを通じて環境のことを考える”をコンセプトにした、「エコアートネットワーク山梨2009」のプロジェクトのひとつです。
展示作家は山梨県在住または県内にアトリエを持ち、森に関係する=植物や木をテーマに、またはそれらを素材として使用しているアーティストたちです。
画像は「エコアートネットワーク2009」の代表で、事務局としても様々な仕事をしていただいている深沢修さんの作品「森のミメーシス」です。
植物の繊維を漉きこんだ和紙を使い、オブジェと屏風を組み合わせた展示です。
「・・・・・紙は植物が水を媒介としてつくられたものだ。だから紙の中には植物としての記憶と、水の記憶が含蓄されているのだと私は考えている。・・・・」(「森の記憶」展「アーティストからのメッセージ」より)
と語る深沢さんの作品からは私たちの意識の深層に刻まれている「記憶」を呼び起こすメッセージが感じられます。
深沢さんのメッセージの中にあるキーワードは「植物の記憶」と「水の記憶」。
そして、そのキーワードと同名の「水の記憶」展を須玉歴史資料館で同時開催中です。
他の作家の作品はこちらでご覧いただけます。
深沢さんの作品の右側に展示されているのが志村陽子さんの作品「森に棲む」です。
麻の繊維でつくった球体や人間のようなオブジェと和紙を組み合わせて、繊細で透明な明るさが満ちた空間を創りだしています。
たとえば雨あがりの森を歩いていて、ふと雲間から森の中に差し込んだ陽光に目をやると、もしかしたら本当にこんな空間が見えるかもしれない・・・そう思わせるような展示です。
「生命はしなやかに力強く、この世界では循環して永遠に受け継がれています。種子や葉、枝、植物の繊維などの生命の継続していく植物の素材にこだわり、生命をテーマに制作を続けています。」(「森の記憶」展「アーティストからのメッセージ」より)
深沢さんの左側には神田泰子さん、野宮昭子さんによるオブジェ「風の刻(とき)」が展示されています。
干した草をていねいにアレンジした作品からは干草の香りが漂ってきて視覚はもちろん嗅覚・触覚なども刺激し、現代美術を鑑賞する楽しさを味わわせてくれます。
「森を吹く風を表現したかった・・」と語るお二人の作品は、時には軽やかに、そしてあるときは濃密に吹く森の風を感じさせてくれる展示となっています。
「この世の中には、物が満ち溢れている。そのなかから再生できる物はしていかなければならない。・・・」(「森の記憶」展「アーティストからのメッセージ」より)
2階の展示室の一番奥に存在感のある木彫が展示されています。
三井正人さんの「G」です。
クスの木を彫り、彩色された作品からはモダンな中にも生命そのものの持つ「気配」のようなものが漂ってきます。
「ジーンズ」という現代風のモチーフですが、本来なら着ているはずの人間の不在が逆にその生命を、木に残されたひとつひとつのノミあとが作家と木の生命を表現しているように感じられます。
「・・・・・我々は有機と無機の狭間で、行き来をし、命を求めてさまよいます。命のあるものはやがて死に、その亡骸は、朽ちていく、朽ちながら何かのメッセージを伝えている、そんな作品を作りたいと願っています。」(「森の記憶」展「アーティストからのメッセージ」より)
幅1.4m、長さが10m以上にも及ぶ巨大な作品がセンターハウスの天井を飾っています。
スクリーンに描かれた北山満智子さんの墨絵です。
まるで森の中の巨大な生き物が蠢いているように見えます。
この作品は下からも上からも鑑賞できるのが特徴で、下から見上げると、スクリーンの墨を通して照明が映り、夜空に輝く星のようです。
上からはその全体像が見渡せ、見た人がそれぞれのイメージを抱けるようになっています。
北山さんの作品は須玉歴史資料館にも同時に展示中です。
こちらは“反古紙”に墨を入れ、オブジェのように仕上げた作品たちで、明治時代の面影を残す教室で風にゆれながら不思議な空間を作り上げています。
「・・・・・自然の中から生まれた物に感謝をしつつ寄り添い同化しながら作品化を心がけています。・・・・・」(「森の記憶」展「アーティストからのメッセージ」より)
1階のPICAブースに展示されている木彫作品が渕上照生さんの「原始の塔」シリーズです。
アフリカの原始芸術からインスピレーションを得たという作品は、古代の気配を放ちつつも洗練された仕上がりとなっています。
中央に掘り込まれた具象的な動物像が木そのものが宿していた命を暗喩しているように感じました。
手前の作品はオノオレカンバという、樺のうちでもとても硬い木でできています。
また、後ろのものはイチョウを使用した作品で、それぞれ木肌の色の違うのがよくわかります。
「・・・・・・森の中での暮らしは、自然の素晴らしさを知ることができます。その感覚を作品を表現できればと考えています。」(「森の記憶」展「アーティストからのメッセージ」より)
1階のPICAブースの壁面に展示されている絵画作品の大作が増田実さんの「Kodama・木魂」です。
増田さんは八ヶ岳の森の中に移住後、この「Kodama・木魂」シリーズを手がけるようになりました。
私が増田さんの作品をはじめて見たのは甲府のギャラリーでの個展でした。
森に入ると、季節季節で変わる葉の色が空間を染め、その間から見え隠れする木々の枝は絡み合い語り合っているかのように思えます。“森は生きているひとつの生命体”そんな言葉がふと脳裏をよぎります。
増田さんの作品は私の森に対する漠然としたイメージを見事に表現してくれていました。
「・・・・・少し昔の日本人には水・森・自然を大切にする意識、水を水として使うのではなく、曲水の宴、水琴穴等、として共存する心がありました。と同時に自然に対する畏敬の念もありました・・・」(「森の記憶」展「アーティストからのメッセージ」より)
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